心理的要因-相場を動かす変動要因-
目次
心理的要因
・為替心理説
マーケットは人間がとった行動の結果の表れです。当然に人間のとった行動にはその背景に結果を導き出した人間の心理が働きます。 またよく耳にする相場についての「格言」も人間の行動心理を的確に言葉で言い表したものであるといえます。「まだはもうなり、もうはまだなり」とか「押し目待ちに押し目なし」とかいったものです。
「セリングクライマックス(Selling Climax)」といったものの背景にも人間の危機心理を背景としたものかもしれません。
このようにマーケットの動向と人間の行動心理は、切っても切ることができない深い関係があるのです。
またこのような心理的要因を背景とした投資行動は、時にはファンダメンタルズやテクニカルの重要ポイントなどを全く無視した大きな変動につながることも少なくありません。それが買いが買いを呼び、売りが売りを呼ぶ状況なのですから。
・投資家の心理動向
ではその心理の傾く方向を予想する手立てはないのでしょうか?
その方法こそまさに「相場予想」の極意であるかもしれません。しかし、相場は常に動いているものであり、まったく同じ状況というものはなかなかありません。また人間の心理というものも常に移ろい変るものですから、これといって理論で解明できるようなものでもありません。
しかし、行動のパターンを分析する事によってその心理状況を理解する事ができ、相場動向の予測をする上で参考になるような事象が多くあることも事実です。
1900年代半ばにあるアナリストによって投資家心理を分析する際の基本的な概念が提示されています。
ⅰ)群集は考えずに行動するので、一般大衆の意見は多くの場合間違っている。
ⅱ)一般大衆は間違っている以上に正しいときのほうが多い。(相場で)トレンドが継続している間は大衆が正しいが、トレンドの始まりと終わりでは間違う。
ⅲ)群集は用心し、かつ慎重でなければならないときに非常に熱狂的で楽観的である。そして、大胆であるべきときに彼らは非常に怯えている。
これらは是非とも心に留めておきたい概念です。
・モメンタム/バイアス
よくマーケットは生き物であると例えられますが、それは時には素直であったり、時にはいうことを聞かなかったりということを例えた言葉なのでしょう。
モメンタムとは直訳すると“勢い”、バイアスとは“偏り”とされますが、これらもマーケットではよく聞かれる言葉です。
例えば昨年から「サブプライムローン」に端を発する米国金融不安では、ドル売りの強いモメンタムがあり、ドルが下落する方向にバイアスがかかっているといえます。
こういった表面化したものもありますが、短期的な波動ではそれらを見出しにくいケースが多いといえます。経済指標の発表などのときに、予想より悪い数字が発表されたのに思ったほど下げていない、下げてもすぐ戻されてしまうことがあります。そうした場合、中長期スタンスでマーケットが上昇方向にバイアスが偏っていたり、上昇方向にモメンタムがあるということが多いといえます。
市場取引と相対取引
日本のFX取引(外国為替証拠金取引)は、2000年以降、10年足らずで投資家の人気を集め、大きな発展を遂げています。そして、現在では2つのタイプの取引形態があります。
それは市場取引と相対取引で、現在主流となっているのは相対取引です。
市場取引というのは、東京金融先物取引所における「くりっく365」と呼ばれる取引のことです。証券市場でいうならば東京証券取引所や大阪証券取引所などで取引されている金融商品と同じで、市場に買い手と売り手が集まり、値段が決まる取引となっています。
※「くりっく365」に加盟している業者に口座を開設する必要があります。
それに対して相対取引とは、別名OTC(Over The Counter)と呼ばれ、業者とそこの口座を開いている投資家で成立する取引のことを言います。
当然、業者と投資家間で取引が成立するわけですから、投資家が買うときは業者が売り手となって、投資家が売るときは業者が買い手となります。
このままでは投資家と業者のいわゆる勝負となってしまいますので、業者は投資家との取引成立後(もしくは同時に)、インターバンク市場やカウンターパーティーと呼ばれるブローカーに、買い手となった場合は「買い」、売り手となった場合は「売り」を出します。
取引形態による相違点
まず一番大きな違いは、市場取引(取引所取引)では税制面で優遇されているということです。取引所取引では、利益は譲渡所得となり、利益に対して20%の源泉課税となっています。
それに対して相対取引では、利益は雑所得扱いとなり、その他の所得との通算もできず、20万円以上の利益に対しては申告義務が発生し、税率も総合課税となり総所得に対する累進課税となります。
ここまで聞くと相対取引を行う投資家は愚かだ!ということになります。しかし、一般的に相対取引は市場取引と比較し、サービス面、特に手数料が安価です。ここ最近では手数料0円という業者も決して珍しくなくなっています。そういう意味で、一概にどちらがよいともいえません。
外国為替市場の基本的なルール
現在、外国為替取引を行う上では、一部の国を除き法律上の制限はほとんどありません。そのため、取引のルールは参加者(この場合は銀行及び為替ブローカー)で構成されたグループが取り決めた自主ルールに基づいて取引されています。
日本の場合は、“東京外国為替市場委員会”が取引のルールなどの取り決めを行っています。ちなみに海外には“ニューヨーク外国為替市場委員会”、“香港外国為替市場慣行委員会”などがあり、これら海外のグループと綿密に連絡を取りあっているのに加え、自国の政府や中央銀行とも密接な関係を持っており、単なる1国の“業界団体”ではなく、世界的な規模でのルール作りを行っています。
これらグループによって取り決められたルールのうち基本的でかつ大変重要なものが2つあります。
①受渡日(決済日)に関するルール
外国為替取引は、異なる2国間の通貨を交換する取引です。したがって“何時の時点で”交換(決済)を行うかが重要となってきます。
現在外国為替取引では、いかなる通貨の交換でも取引が成立した日の“2営業日後”に交換(決済)することになっています。ただしこれには例外がありまして、米ドルとカナダドルとの取引に関しては、取引成立日の翌営業日が交換(決済)の期日となっています。
通常、お金の交換(決済)は現金を交換することで成立しますが、輸送技術の発達や、金融機関の決済機能の向上により、現在では2日あればお互いの現金を交換することが可能となるために、“2営業日目”での交換(決済)となっているといわれています。また、アメリカとカナダは隣の国である事と経済的な結びつきが強い事から“翌営業日”でも充分対応が可能であるとの判断から、他の通貨の場合と違い1日早い交換(決済)となっています。
この“2営業日後”に交換する事を約束して取引することを、外国為替取引では「スポット(直物)取引」と呼んでいます。
テレビ・ラジオのニュースや新聞で「1ドル=105円50銭・・・」と報じられているのは、この「スポット(直物)取引」を行う場合の米ドルと円の交換比率(レート)なのです。
外国為替取引では、“後2営業日”に交換(決済)する「スポット取引」の相場(交換比率)しか存在しません。
では、貿易を行っている会社が3ヵ月後の決済の為の為替予約を行う場合は、どうするのでしょうか?
現時点で為替取引を行うと、“2営業日後”には決済しなくてはなりません。このような場合は「スワップ(フォワード)取引」という取引を行って、2日後の交換(決済)を3ヵ月後に延長するのです。
②レート表示のルール
・外国為替相場の表記
外国為替相場はお金を交換する際の“比率”であることから、視点が違うと同じ比率でも、まったく違う表示となります。 例えば、1ドル=105円という相場を逆にすると、1円=0.009524ドルと表示できます。
しかし、現在銀行間の取引では通常“1ドル=120円”といったような表記の仕方で相場を建てています。これを“コンチネンタルターム表記”と言います。
では、なぜ銀行間では通常“コンチネンタルターム表記”での相場を立てているのでしょうか。
ご存知のように現在米ドルは“基軸通貨”として広く認識されています。“基軸通貨”とは、簡単に言うと“お金のものさし”です。そのため、この”基軸通貨”である米ドルを売買するに当たって、他の通貨がいくら必要なのかと表記する方法をスタンダードにしているのです。
ただしこれにも例外があります。それはイギリスポンド、ユーロ、豪ドル、ニュージーランドドルなどと米ドルとの取引の場合の相場の建て方は逆になります。即ち1ポンド=1.5750米ドルと言った建て方をします。
これを“ニューヨークターム表記”と言います。
・オファーレートとビッドレート
外国為替相場の値段は“2ウェイ・クォート”といって、1ドル=105円20-25銭のように“売値”と“買値”が提示されるのが基本です。
この場合、105円20銭が“買値”で25銭が“売値”となります。実は“売値”と“買値”というのは、値段を提示する者にとっての“売値”と“買値”なのです。即ち、“105円20銭ならドルを買ってもいいですよ。”というのが“買値”でビッドレートと呼ばれています。一方“売値”は“105円25銭ならドルをお売りしてもいいですよ。”というレートで、オファー(アスク)レートと呼ばれています。
このビッドレートとオファーレートの差のことをスプレッドといいます。
また、外国為替取引の基本はあくまでも相対取引なので、米ドルと円の外国為替相場が1ドル=105円20-25銭と表示されている場合、105円20銭から25銭で取引されているのではなく、ドルを売るなら(お客さんはドルを買うなら)105円25銭で、ドルを買うなら(お客さんはドルを売るなら)20銭で応じますといった”気配値“を提示しているにすぎません。
ですから、テレビなどでその値段が表示されているからといって、必ずその値段で取引がなされているとは限らないのです。
③スワップ(フォワード)取引
・外国為替相場の表記
お金は、1日でも持っていると金利がつくものです。言い換えると今日よりも明日のほうが“金利分だけ価値が上がっている”のです。
スポット取引の場合“2営業日後”に交換(決済)するのですが、1ドル=105円で取引した場合、“2営業日後”に1ドルと105円の価値が等しいと考えるからこそ、このような取引が成立します。
ところが、ドルと円の交換する日を1日ずらすとどうでしょう?
1日経てばドルも円もその金利分だけ価値が変りますので、1ドルの価値と105円の価値は等しくないのです。
これを等しくするには、お互いの1日分の金利を含んだ価値が同じになるように調整してあげればいいのです。この調整の取引が“スワップ(フォワード)”取引なのです。
前述の“2営業日後”の交換(決済)日を3ヵ月後に延長する場合、3ヶ月間にお互いが受け取れる金利の価値が等しくなるように調整してやれば、スポットレートが1ドル=105円の時の価値のまま3ヵ月後に延長できます。すなわち1ドルを3ヶ月持ったときにつくドル金利と105円を3ヶ月持ったときにつく円金利の価値が同じならば良いのです。現状ではドル金利のほうが高い為、ドルを持っているほうが円を持っているより価値が多くなる為、3ヵ月後にドルを売る場合には、価値が多くなる分だけ割り引いて売ってあげればいいのです。
現在、行われているFX取引では、ニューヨーククロース時点(東京時間早朝)でポジションを持っている場合、日々自動的にこのスワップ取引が行われることになります。
例えばドル円を10万ドル買っていた場合、1日のスワップが+800円だとしたら、毎日800円のスワップを受け取ることができます。
またこのような状況下で、10万ドル売っていた場合は、逆にスワップを支払わなければなりません。その際、スワップも通常スプレッドがありますので、スワップを支払う際には800円以上となります。
各業者はこのスワップレートをホームページなどで公表していますので、口座を開設する時には事前に調べておいたほうがよいでしょう。

